ある時、幻想郷に雨が降った。
その雨はとても長い間、しんしんと振った。
異変ではないかという声も上がったが、巫女は動く気配がなかった。
巫女が言うには「ぴーんと来ない」とのことだ。
しかし雨が振るとスペルカードバトルが十分にできない…
長きに渡る雨は徐々に幻想郷に不満をもたらした。
特に紅魔の吸血鬼は大きく騒いだ。彼女たちは雨が降ると外にも出られないからだ。
怒りをぶつけるように、雨雲を消し去ろうと毎晩夜空に真紅の槍を放っていた。
どこに被害が及ぶかわからない、これは早急に対策が必要だ。
事態を重く見た妖怪の賢者は少しの妖怪と人間を集め、新たな闘いのルールを提案した。
「外の世界にカードを使って戦う競技がある。それを幻想郷での雨天時の決闘競技にします。」
雨が降っている時でも問題なく、人妖神の力量の差を抑えられ、勝敗がつけられる…
幻想郷の新たな決闘競技…
それを彼女は天刻と名付けた。
……
………
それからいくらかの月日が立ち、長雨もすっかり消えてしまった。
長雨異変の原因はわからなかったが、次第にそのことを気にする人もいなくなっていった…。
しかし天刻は室内で行える弾幕ごっことして、スペルカードバトルと並び幻想郷で大きく用いられることとなっていた。